多宝塔・五輪塔



■多宝塔とは?
多宝塔は、寺院建築における仏塔の形式のひとつ。代表的な木造建築物として、日本最古の木造多宝塔である石山寺多宝塔、日本最大の木造多宝塔である根来寺大塔などが国宝としても有名です。

多宝塔の由来
「法華経」見宝塔品第十一において多宝塔は、お釈迦様の説く法華経の教えに讃嘆した多宝如来様が、お釈迦様の説法中に七宝塔と共に現れたそうです。そして七宝塔の中の半座を空け、お釈迦様と共に並んで座られたことに由来するそうです。

多宝塔の様式
現代の寺院建築用語では初重平面が方形、二重平面が円形の二層塔を多宝塔と称されます。さらに狭義には初重が1辺に柱が4本立ち柱間が3間ある方三間のものを多宝塔と称します。この方五間のものを「大塔」と呼ばれ、天台系には初重・二重とも平面方形の二重塔があるがこれは単に「二重塔」と呼ばれています。多宝塔の初重内部は須弥壇を設け、仏像を安置するのが原則で、石山寺多宝塔のように大日如来を本尊として安置する例がく、木造のもののほか室内に安置される金属製のもの、屋外に置かれる石造のものがあります。石造の場合の多宝塔の遺例としては、一重の宝塔が多く見られます。



■五輪塔とは?
五輪塔は、五輪塔卒塔婆や五輪解脱とも呼ばれ、供養塔や墓塔として使われる仏塔の一種です。納骨する石造のものは石造美術の一分野として重要な位置を占めます。現在では、亡くなって50年を過ぎた先祖のお墓として建てられます。

仏教で言う塔(仏塔)とは、ストゥーパ(卒塔婆)として仏舎利と同じような意義を持っていますが、小規模な五輪塔や宝篋印塔、多宝塔(石造)は当初から供養塔や供養墓として作られたと思われます(中世の一部五輪塔には、地輪内部に遺骨等を納めたものが現存します。)

供養塔・供養墓としての五輪塔は全国各地に存在します。集落の裏山の森林内に、中世のばらばらになった五輪塔が累々と転がっていたり埋もれていたりすることも稀ではありません。現在多くの墓地で見られるような四角い墓は、江戸中期頃からの造立ですが、現在でも多くの墓地や寺院で一般的に五輪塔は見られます。覚鑁は経典の記述に基づいて、五輪を人の五体になぞらえた図を残しています。これが入定の姿と解されて墓塔や供養塔として多用されたものと考えられます。

構造



五輪塔は、下から

・方形=地輪(ちりん)
・円形=水輪(すいりん)
・三角形(または笠形、屋根形)=火輪(かりん)
・半月形=風輪(ふうりん)
・宝珠形または団形=空輪(くうりん)

によって構成されます。
古代インドでは宇宙の構成要素・元素と考えられた五大を象徴しています。「大日経」などの経典に現れる密教の思想の影響が強く、それぞれの部位に下から

・「地(ア a)
・水(ヴァ va)
・火(ラ ra)
・風(カ ha)
・空(キャ kha)」

の梵字による種子(しゅじ)を刻む場合が多く。四方に種子を刻む場合は四転、例えば地輪に刻むアなら→アー→アン→アクという具合に刻む方角によって変化します。種子(しゅじ)は密教の真言でもありますから下から読みます。

日蓮正宗では必ず上から「妙・法・蓮・華・経」の五字を刻みますが、宗派によって、天台宗・日蓮宗では上から「妙・法・蓮・華・経」の五字が、浄土宗では上から「南・無・阿弥・陀・仏」の文字が、禅宗では下から「地・水・火・風・空」の漢字五文字が刻まれる場合もありますが、宗派をとわず種子を彫ることも多いです。。また、種字や文字のない五輪塔も多く存在します。

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